私はいま、学童保育の指導員の仕事をしている。
今日、一人の女の子が
「これよんで」と、一冊の絵本を差し出した。
平和な森に住む動物たちが、
あるとき、うなり声をあげて近づく、
たくさんのブルドーザーに気づく。
恐ろしい勢いで木々をなぎ払い、地面を削り、
ついにシンボルツリーも切り倒される。
なすすべもなく、動物たちは森を逃げ出し、旅をして
最後には、あの森にそっくりな場所をみつけるというもの。
読んでいると、たくさんの子たちが集まってきた。
せんせい、おもしろかった。もう1かいよんで。
よぎるのはもちろん、加計呂麻のこと。
嗚咽しそうになるのを何とかこらえて、もう一度読んだ。
絵本の森の動物たちは、
みんな無事に新しい場所へ移ることができた。
加計呂麻の森と供に暮らしているのは、動物ばかりではない。
人もまた。
替わりになる場所なんて、あるのだろうか。
海や山うかげ
山や空うかげ
空や海うかげ
(海は山のおかげ、山は空のおかげ、空は海のおかげ)
山に降った雨が、木を育て、生き物を育て、
森の栄養を含みながら海へそそぎ、
海の生き物をも育む。
山に降る雨は空からの贈り物。
そして、雨の素は、海からのぼる水蒸気。
書いた人
靴屋 |
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